第70章

彼女がそっと覗き込むと、草むらの中に画面が点いたままのスマホが転がっていた。画面には草の葉から落ちた露がぽつぽつと滲んでいる。表示されている時刻からして、落とされたのは今朝のあの時間帯だろう。

――誰かが落としたのか?

腰を落として拾い上げる。着信履歴の表示には『金を持ってくるやつ』の文字。

(……かけてきた人、持ち主の知り合いかもしれない)

そう思って通話ボタンを押す。こちらが名乗るより早く、受話口の向こうから怒鳴り声が飛んできた。

「峰村平! どういうつもりだ! 何時だと思ってんだ、こっちはどれだけ待たせりゃ気が済む! 10分以内に来い。来なきゃ、俺から金を受け取れると思うなよ!...

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