第72章

来る途中、宮原ミナミはすでに対策を練っていた。返答は隙がない。

「山登りで、体を鍛えに」

十数年前、母が失踪した直後ですら警察は有力な手がかりを掴めなかった。痕跡がすべて消えた今となっては、十数年後に何かが出てくるとも思えない。

ここで余計なことを口にして、万が一噂が漏れて宮原江太郎に勘づかれでもしたら――この先の調査は確実にやりづらくなる。

案の定、女性警官は疑わなかった。肩の力を少し抜き、続けて問いかけてくる。

「どうして大通りから外れて、あんな場所に行ったの?」

「日差しが強かったので、木陰で少し休もうと思って」

「そんなに近くにいたのに、違和感はありませんでした? 例え...

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