第75章

佐藤家の市場を、あっという間に奪えるってことじゃない?

消費者だって馬鹿じゃない。効き目のいい薬があるのに、わざわざ劣るほうを選ぶはずがない。

「もちろん」

宮原ミナミは顎をくいっと上げ、書類の最下段に押された印を示した。

「薬検所の報告書よ。これ以上の証明がある?」

鈴宮栄介はゆっくりと濁った息を吐き出す。先ほどまでの傲慢さは半分以上削げ落ち、次の瞬間には決断が固まっていた。

――鈴宮病院として、必ずこの薬を導入する。

「……ぜひ、鈴宮様。私どもにも分かるよう、もう少し噛み砕いてご説明いただけますか」

鈴宮栄介は表情を和らげ、先ほどの軽視を引っ込める。今の態度は、取引相手に向けるべ...

ログインして続きを読む