第76章

宮原ミナミの眼が鋭く細まった。さっきまでの気怠い余裕は跡形もない。立ち上がると足早に階段へ向かい、受話器の向こうの事務所スタッフに告げる。

「今は電話に出られないの。少し待って。静かな場所を探すから」

暑さが日に日に増し、使用人たちは庭先で涼んでいることが多い。そんなところで話せば、耳ざとい連中に聞かれて、余計な火種を生むだけだ。

二階へ戻ると、ミナミは部屋の鍵を念入りに掛け直した。それからようやく、低い声で切り出す。

「……それで。何が分かったの?」

「宮原さん。峰村平という男が見つかりました。お母さまの失踪に関わっている可能性があります」

胸の奥が、ひくりと動く。H山で見た“あ...

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