第89章

彼女がきょとんとした顔を見せたのを見て、朝村奥矢はどこか気まずそうに視線を泳がせた。

「えっと……この間、俺たちに補習してくれて、ありがとう。連絡先、教えてくれない? 何かあったら俺に電話して。力になれることなら、絶対に断らないから」

朝村奥矢はさっき答え合わせをして総得点まで出し、手応えのある結果に内心ほっとしていた。だからこそ、何か形にして返したかった。

彼は昔から、貸し借りを曖昧にしない。受け取った以上、礼をしないままでは気が済まないのだ。

宮原ミナミは手を振って断ろうとした。F組の面倒を見たのは見返りが欲しかったからではない。何度も自分を庇ってくれた彼らの、まっすぐな気持ちに心...

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