第9章

宮原美奈子の婚約の件も、同じだ。

村木家の若様は病を患い、骨髄移植が必要だった。だが血液型が希少で、適合するドナーはそう簡単に見つからない。

宮原江太郎は、宮原ミナミが若様と同じ型だと知っていた。にもかかわらず村木家には「美奈子が提供する」と吹き込み、その言葉を信じた村木奥様は早々に宮原美奈子を「未来の嫁」として受け入れた。

――けれど、実際に手術台に上げられたのは、宮原ミナミだった。

もし村木奥様が知ったらどう思うだろう。宝物のように可愛がっている「息子の婚約者」が、命の恩人ですらない、ただの身代わりだと。

「ふふふ……」

鈴を転がすような笑いが、宮原ミナミの唇からこぼれた。

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