第93章

部屋に足を踏み入れた瞬間、宮原ミナミの視界に真っ先に飛び込んできたのは、やたらと大きなドレッサーだった。鏡の脇には宝飾品がきっちりと並べられている。どれも福部優子のものだ。

主寝室は贅を尽くした設えで、使用人の手が行き届き、埃ひとつ見当たらない。

ミナミは部屋中を一通り探した。けれど――何も出てこない。

胸の奥がじわりと焦げるように焦る。時計を見ると、もうすぐ宮原江太郎が退勤する時間だ。これ以上探しても無駄だと悟り、結局、手ぶらのまま下へ降りるしかなかった。

ミナミは窓辺のクッションに腰を下ろし、カーテン越しに庭をぼんやり眺める。力が抜けていく感覚が、波のように全身を攫っていった。

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