第95章

一目見た瞬間、宮原ミナミは気づいた。

今の津坂幸音の、あの窮屈そうな身のこなし。前世の自分が宮原家に引き取られた直後と、まったく同じだ。何をするにもまず周囲の顔色をうかがい、許しが出てからようやく動く。

――大人になってから、宮原江太郎に連れ回され、社交の場で理不尽を浴びせられ続けなければ。自分も、今の自分みたいにはなれなかっただろう。

そういう意味では、津坂崇介が幸音を連れて宮原ミナミのところへ来た判断は、実に的確だった。

前世の宮原ミナミは何も知らないまま上流の世界へ放り込まれ、頭を打ち、心を擦り切らし、屈辱を飲み込んだ。今世では、その経験がそのまま幸音の道しるべになる。

――あ...

ログインして続きを読む