第108章 これは小麦粉

白鳥紗雪は危うく口を滑らせるところだった。もし彼女がこれを頑なに『麻薬』だと断定し続ければ、なぜ中身を知っているのかと周囲に怪しまれてしまう。

そもそも、麻薬のパッケージにロゴが印刷されているわけがないのだから、彼女の推測にも一理あると言えなくもないが。

白鳥紗雪の母親が再び食ってかかった。「雲田茜、もう観念して認めなさい! 賀川時が常にあなたの側にいてアリバイを証明できると言っても、まさか女子トイレの中までついて来るわけじゃないでしょう?」

賀川時は片眉を跳ね上げ、やれやれと首を横に振った。「俺は紳士だぜ。女子トイレにホイホイ入るような趣味はない。あそこに入れるのは女か、ある...

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