第113章 白鳥樹の計画

白鳥樹は内心、後悔していた。ある一つの事実を思い出したからだ。

賀川時と雲田茜がこの国に来る前、賀川時は白鳥樹に対して、自分の正体を絶対に漏らさないよう釘を刺していた。この国における賀川時の表向きの身分は、ごく普通の商人の息子ということになっている。

一介の商人に、今回のような大規模な技術展覧会に参加する資格などあるはずがない。

白鳥樹は探りを入れるように、雲田茜に尋ねた。

「茜姉さん、技術展覧会に行って何をするつもりなんですか?」

雲田茜は本来の目的を口にしようとしたが、賀川時がいまだにその件で嫉妬していたことを思い出し、とっさに言い方を変えることにした。

「製品の外...

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