第120章 薔薇

雲田茜は中橋季亜と挨拶を交わし、顔見知りとなった。続いて中橋唯生が、部署の他のスタッフを雲田茜に紹介していく。

雲田茜の配属された部署には三十人近いスタッフがおり、今後は彼ら全員が彼女の指示に従うことになる。

当初、雲田茜は情熱と友愛を持って接しようとしていた。しかし、自己紹介を終えるや否や、スタッフの大半が一人の女性に視線を注いでいることに気づく。

以前、中橋唯生から聞いていた名前だ——黒崎加里。雲田茜の役職はデザイン部の部長であり、黒崎加里はその副部長である。

中橋唯生がこっそり教えてくれたところによると、もし雲田茜が来なければ、間違いなく黒崎加里が部長の座に就いていた...

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