第121章 彼に平手打ち

雲田茜はただ宅配便を受け取りに下へ降りただけだったが、まさかそこで、ちょうどやって来た賀川哲也と鉢合わせるとは思ってもみなかった。

一方の賀川哲也も、雲田茜を探そうとしていた矢先に、彼女がビルから出てくるところを捕まえるとは思っていなかったようだ。

「ちょうどよかった」

二人は同時に口を開き、そして同時に黙り込んだ。

先に沈黙を破り、言いたいことを口にしたのは賀川哲也の方だった。

「俺のプレゼントがいらないとはどういうことか、説明してもらおうか。電話まで着信拒否しやがって! 俺を拒絶する度胸がどこにあるんだ?」

賀川哲也の表情には怒りが滲み、その眼差しは陰鬱だった。

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