第132章 ケビンの妻

人の趣味や行動習慣というものは、そう簡単に変えられるものではない。だが、物事の良し悪しを判断する基準や美的感覚は、時の流れと共に変化していくものだ。

雲田茜が注目したのは、ケビンがここ数年の商業イベントに出席した際の服装、そして身につけているアクセサリーだった。私物には、その持ち主の好みやスタイルが色濃く反映されるからだ。

ふと、茜は興味深い事実に気がついた。

どこのイベントであれ、ケビンの傍らには必ず彼の妻が寄り添っているのだ。デザイナーとしての直感が働き、茜は即座にケビングループが近年開発した製品のデザイン画をモニターに呼び出した。

「やっぱり。製品の外観と、奥さんが身に...

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