第133章 思いがけない喜び

別荘を後にして会社へ向かおうとしていた矢先、賀川時の携帯が鳴った。雲田茜からだ。

しかし、彼女が例のワインの銘柄について尋ねてくると、彼の表情はどこか奇妙なものへと変わった。

「あのワインがどこのワイナリーで作られているか、知らないのか?」

賀川時は言い終わるや否や、思わず吹き出した。

雲田茜は眉をひそめる。

「私の知っているワイナリーはフランスのブランドばかりで、オーストラリアの方は本当に詳しくないんです。あなたなら私より詳しいと思って電話したのに、何がおかしいの?」

雲田茜は不満げだ。まるで賀川時に馬鹿にされているように感じたからだ。

電話の向こうでひとしきり笑った後、賀川...

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