第18章 心の黒い田村剛

賀川時は説明しようとしたが、その時ちょうど雲田茜のポケットから電話の着信音が鳴り響いた。

雲田茜はすぐに電話に出ると、向こうからは田村剛の朗らかな笑い声が聞こえてきた。

「すみません、雲田茜さん。ちょうど会議中だったもので、すぐに電話に出られなくて。何かご用件でしょうか?」田村剛が尋ねた。

雲田茜はすぐに10億円が必要だということを田村剛に伝えた。彼女が驚いたことに、田村剛は肯定的な返事をくれたのだ。

「10億なら当然ありますよ。以前おじいさんにお世話になったこともありますし。こうしましょう、今夜場所を決めて、そこでお金をお渡しします」田村剛は待ち合わせ場所を伝えると、電話を切った。...

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