第180章 契約

 裁判所にいる賀川哲也の表情は、陰鬱そのものだった。そんな最中、彼のスマートフォンが着信を告げる。相手は雲田美咲だ。

 哲也がチラリと横を見ると、賀川家の当主である祖父は、着信の相手が誰か即座に察したようだ。

「私を見るな。出ればいいだろう」

 祖父は冷ややかに言い放つ。

 哲也は携帯を持って席を外そうとしたが、祖父に制止された。

「なぜ外へ行く? ここで出なさい。美咲が何を言うのか、私も聞いてみたいのでね」

 その口調には、明らかな嘲りが混じっていた。

 哲也は諦めて通話ボタンを押した。するとすぐに、美咲の泣き叫ぶ声が漏れ聞こえてきた。

「哲也兄さん! 私、今テレビ中継を見...

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