第235章 一本の刀

本来、雲田茜は会社へ出勤するつもりでいた。すべてのトラブルは賀川時が引き受けて解決すると請け負っていたからだ。茜に求められていたのは、事態への悪影響を避けるため、記者たちの注意を一身に引きつけることだけだった。

だが、予期せぬ事態が茜を襲う。出勤中に賀川時から突然の電話が入ったのだ。彼は切迫した様子で、直ちに通報して廃工場へ向かうよう茜に告げた。彼女の両親が何者かに銃撃されたというのだ。

電話での賀川時の説明によれば、彼が派遣した部下たちは賀川哲也の手勢に扮していたらしい。本来の計画では、雲田隆夫妻を車に乗せ、そのまま賀川家の祖父の元へ連行する手はずだった。

ところが、その偽装工作が本...

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