第236章 母との対話

病院の廊下に、慌ただしい足音が響き渡った。顔に深い皺を刻んだ初老の男が、検査報告書の束を手に、ICUの病室へと駆け足で向かっている。

焦燥のあまり額には脂汗が滲み、皺の溝を伝って流れ落ちる。汗が目に入ろうとも、男はそれを拭う素振りさえ見せなかった。

ICUの病室前。田中浩は沈痛な面持ちで佇んでいた。ガラス越しに見る娘の寝顔は穏やかそのもので、それを見るたびに胸が張り裂けそうな悲しみに襲われる。

その時、例の男が駆け込んできた。田中浩が冷ややかな視線を向けると、男の体が一瞬、微かに強張る。

「旦那様、動きがありました」

田中家の執事は、一束の検査報告書を主人の前へと差し出した。

田...

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