第237章 高橋雅子を説得する

 高橋雅子は、夫が自分を見捨てるなどとは夢にも思えなかった。それどころか、雲田茜が突きつけた証拠に対してさえ、疑いの目を向けていた。

「こんなもの、全部嘘よ! 私を騙そうとしてるんでしょ!」

 高橋雅子は雲田茜に向かって怒号を浴びせた。

 対する雲田茜は、淡々とした表情を崩さない。

「嘘だと思うなら、ご自分で調べてみてはいかがですか? チケットの手配をしたのは会社の人間です。誰だか心当たりがあるでしょう?」

 言いながら、雲田茜は高橋雅子の携帯電話を滑らせるように差し出した。それは警察が廃ビルで回収したものだった。

 高橋雅子はすぐさま携帯電話をひったくり、ある番号へとかけた。相...

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