第25章 女性の戦争

オークションの始まりは、二人の女性の戦いへと変わった。

2000万円程度の価値しかない油絵が、彼女たちによって1億円にまで吊り上げられた。

上階の個室から田中瑶子と雲田茜の入札を見ていた賀川哲也は、軽蔑するように口元を歪めた。「普通の油絵を20倍近い値段に吊り上げるなんて、まったく愚か者どもだ」

賀川時は賀川哲也に不満げな視線を向けた。彼が愚か者と呼んだ一人は、自分の妻なのだから。

賀川時は下で競り合う雲田茜を見つめ、口元に微笑みを浮かべた。「見ていればいい。これはただの芝居だ」

賀川時の言葉に賀川哲也は少し驚きを覚えた。

すぐに、その油絵の価格は1億円にまで吊り上げられた。

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