第255章 雲田隆の電話

賀川時は、あの三人の死体こそが賀川哲也の車爆破事件の実行犯だと確信した。

「俺の読み通りだったか。まさか本当に田中浩の仕業とはな……娘を想う親父の執念、侮ってたかもしれねえ」

賀川時は眉をひそめて独りごちた。

だが、電話の向こうで木下川が口を開く。

「ところで若様、田中家に潜らせた密偵からの報告です。どうやら田中浩は妻と口論になったようで、その妻――片桐夏は今夜出国しました。恐らく片桐佐希の元へ向かったかと。惜しむらくは密偵の身分が低く、立ち聞きまでは叶いませんでしたが」

「まさか、田中浩の嫁さんが黒幕か?」

賀川時は訝しげな表情を浮かべた。その女については、あまり情報がない。

...

ログインして続きを読む