第256章 バー・フェニックス

雲田隆からの電話を受けた時、雲田美咲は数秒の間、呆気にとられていた。

我に返った彼女は、慌てて受話器に向かって叫ぶ。

「叔父さん、今どこにいるの!?」

隣に座っていた賀川哲也は、美咲の叫び声に一瞬反応したが、すぐに身を乗り出し、会話を盗み聞きしようと受話器に耳を押し当ててきた。

一方、雲田隆は黒いウィンドブレーカーに身を包み、橋の下でうずくまっていた。全身が夜の闇に溶け込んでいる。

「俺の居場所は言えない。お前の電話が盗聴されていない保証はないからな。すぐに賀川哲也からこの番号に掛け直させろ」

淡々とそう告げると、隆は一方的に通話を切った。

美咲は切れた電話を見つめ、眉をひそめ...

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