第258章 高橋雅子への尋問

賀川時は田中浩の企みに感づいてはいたが、それを阻止する気などさらさらなかった。

なぜ止める必要がある? 田中浩の矛先は、甥である賀川哲也に向けられているのだ。今や哲也は賀川時にとっても商売敵である。可愛い甥っ子に少しばかり苦労をかけさせるのも、悪くない余興だろう。

洗面所を出た賀川時は、ソファに沈み込んでいる雲田茜の姿を認めた。

リビングのテレビはついているが、茜の意識は画面にはない。ただ、焦燥に駆られる心を紛らわすためのノイズを求めているだけだった。

賀川時はコーヒーメーカーへ向かい、二人分のコーヒーを淹れると、それを運んできた。

「ほら、コーヒーだ」

賀川時は茜の目の前にカッ...

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