第376章 嫌な女

 その声に反応して、雲田茜と久野緒雪は同時に振り返った。そこには二人の女性が立っている。向こうも雲田茜の姿を認めると、一瞬虚を突かれたような顔をした。

「片桐佐希さん、それに片桐夏さんも。お車を選びに?」

 雲田茜は笑顔を貼り付けて挨拶をする。

「雲田さん、奇遇ね。あら、今は雲田社長とお呼びするべきかしら。ええ、車を見に来たのよ」

 片桐佐希は微笑み返し、雲田茜と握手を交わした。

 片桐佐希の立場は、四大財閥の間では周知の事実だ。久野緒雪も当然、彼女が誰の妻であるかは承知している。ただ、これまでは接点がなかっただけだ。

「片桐佐希さん、紹介します。こちらは私の親友で、久野家の久野...

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