第378章 エースの救世主

エースの胸中は、苦渋に満ちていた。せっかく捻り出した解決策が、結局は振り出しに戻るだけの徒労に終わったからだ。

今回の争いに雲田茜と片桐佐希は直接関わっていないとはいえ、残る二人の背後にある実家も、一介の雇われ店長である彼が機嫌を損ねてよい相手ではなかったのだ。

此の期に及んでどう立ち回るべきか──エースが頭を抱えかけたその時、入り口から一人の人物が足を踏み入れた。刹那、エースの瞳に希望の光が宿る。

「申し訳ございません、皆様。少々中座させていただきます。哲也様がお見えになりましたので、ご注文の車をお引き渡しせねばなりません」

エースは踵を返すと、足早に賀川哲也の方へと向かった。

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