第379章 雲田茜に感謝

雲田茜は賀川哲也の言葉に、一瞬だけ呆気にとられた。彼に感謝されるような覚えなど、これっぽっちもなかったからだ。

賀川哲也は、改めて鍵を雲田茜の手に押し付けた。

「礼を言うのは……俺と雲田美咲がしたことを、祖父に黙っていてくれたからだ。あの人は高齢だからな、刺激が強すぎる」

「それで、この車が私への償いってわけ?」

雲田茜は冷ややかな視線を賀川哲也に向けた。かつて手術台の上で死にかけたというのに、たかが車一台で命の代償にするつもりなのか。

賀川哲也は首を横に振った。もちろん、彼にもわかっている。車一台など何の意味もないことくらい。雲田茜への償いになどなりはしないと。

「その車はほん...

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