第380章 計略

賀川時の部下で顧客情報に触れられるのは、幹部クラスの人間だけだ。彼らは皆、長い間賀川時と共に戦ってきた古参ばかり。だからこそ、木下川は信じられなかった。まさか、賀川時を裏切る者がいるとは。

賀川時は顔を上げ、木下川を見据えた。その唇に、ふと笑みが浮かぶ。

「誰の仕業だと思う?」

木下川は眉をひそめ、首を横に振った。

「誰かは分かりませんが、怪しい人物には目星をつけて監視させています。恐らく、賀川延司が裏切り者に高額な報酬を提示し、それに目が眩んで情報を売ったのではないかと」

「人の欲望とは、高き山を転がり落ちる石のようなもの。一度転がり始めれば、もう誰にも止められない――そういうこ...

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