第411章 平手打ち

雲田美咲は電話をかけ、賀川哲也を呼び戻した。

女性ボディーガードが発信ボタンを押した時、賀川哲也は車上の人となっており、会社への到着は目前だった。

「会社で片づけなきゃならない案件があるんだ。大した用事じゃないなら、美咲には家で待ってるように伝えろ」

賀川哲也はスマホに向かい、苛立ちを隠そうともせずに言った。

五輪の開催が刻一刻と迫っている。彼の会社は組織委員会と多くの提携プロジェクトを抱えており、どれも疎かにできない重要案件ばかりだ。いくら雲田美咲を愛しているとはいえ、女一人に全精力を注ぐわけにはいかない。

ボディーガードは要領を得ないまま、ただ雲田美咲が賀川哲在を捜しているとだ...

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