第10章

平らな地面なのに、細川明美は何かに躓いたかのように、なぜか足を取られた。

もう少しで転びそうになった。

何とか体勢を立て直した後も、彼女の頭の中にはあの少し困惑した言葉が響いていた。

「私たちは親友だよ!」

そう、彼らの関係はずっと親友だったのだ。

笑いたい気持ちもあったが、心の痛みで涙が出そうにもなった。

病院の玄関を走り出たところで、目の前に広い胸板にぶつかった。

細川明美は頭がくらくらして、誰だろうと顔を上げようとした瞬間。

見慣れた瞳と目が合った。男性は反射的に手を伸ばして細川明美を支えた。

「痛くない?」

細川明美の目はすぐに潤んできた。

痛い、体も痛いし、心...

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