第13章

たぶん二人が一緒に過ごした時間があまりにも長かったせいで、浅尾武治は彼らの間の境界線を徐々に忘れてしまったのだろう。

細川明美が入学したばかりの頃、学校に入るとすぐに、背の高くて容姿端麗な細川明美は多くの男子の視線を集めた。

中には隣に付き添っていた浅尾武治の存在を無視して、自ら進んで彼女の荷物を持とうと近づいてくる者までいた。

その時、浅尾武治の心には言葉では表せない感情が湧き上がった。

まるで自分が大切にしてきたものが他人のものになりそうで、浅尾武治はどうしても気分が悪かった。

だから彼はそういった男子たちを追い払い、細川明美の荷物をすべて寮まで運んだ。

彼女のルームメイトた...

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