第16章

細川明美の指が画面をランダムに動き回り、なぜか浅尾尚樹のアイコンで止まった。

二人の間には簡単な挨拶だけがあり、それ以来一言も交わしていない。

浅尾家は全員クソ野郎だわ。

心の中で唐突にそんな言葉が浮かび、彼女自身も驚いた。

自分がこんな言い方をするなんて、急に可笑しくなってきた。

確かに彼女は浅尾尚樹に連絡を取る必要があった。今日のことについて謝りたかったのだ。

結局彼は彼女を助けてくれたのに、彼女はあんな態度を取った。恩知らずと変わらない。

それに、浅尾家がどうやって浅尾武治の喧嘩で警察署に行ったことを知ったのかも知りたかった。

本当に浅尾尚樹が言いふらしたのだろうか?

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