第17章

子供の頃は精神的に未熟であったが、細川明美は既に彼らが浅尾尚樹に対して「いじめ」と呼ばれる行為を行っていることに気づいていた。

それは間違っていた。

しかし、浅尾武治の存在に気を遣い、彼女はずっと浅尾尚樹に話しかける勇気がなかった。

下校途中、いつも浅尾尚樹が一人ぼっちでカバンを背負って歩く姿が目に入った。

彼はどれほど孤独なのだろう、そんな思いが突然頭に浮かんだ。

浅尾武治の敵に同情すべきではないと分かっていたが、彼女の頭はあの日の下校途中の姿を思い出さずにはいられなかった。

その日の放課後、試験用紙の問題が理解できなかったため、細川明美は珍しく浅尾武治と一緒に帰るという誘いを...

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