第21章

細川明美は少し驚いた。自分が握手するだけでもダメなのだろうか。

浅尾尚樹はただ淡々と中村信也を見つめ、一言も発しなかった。

しかし不思議なことに、細川明美はどこからともなく冷気を感じた。

中村信也も怒った様子はなく、にこにこしながら手を引っ込めた。

「浅尾さんって本当にケチだなぁ。ただの握手だよ。お嬢ちゃんを連れ去るわけじゃないのに。そんなに怖い顔してたら、嫌われちゃうよ」

なるほど、誤解されていたのか。

細川明美は少し恥ずかしくなり、うつむきながら言い訳した。

「違うんです。私たちは近所の人同士で、あなたが思っているような関係じゃ...」

なぜだか、浅尾尚樹と誤解されたとき...

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