第22章

自分がこれから見知らぬ場所へ向かおうとしている。

一度も足を踏み入れたことのない場所へ。

それが細川明美の唯一の思いだった。

車がゆっくりと賑やかなキャンパスを出て、道路を走り始めると、細川明美は急に恐くなった。

今頃みんなは教室で試験の解答を見ているというのに、優等生と呼ばれる細川明美は初対面の男性とバーに行こうとしている。

確かに運転しているのは幼い頃から知っている浅尾尚樹だけど、二人はほとんど他人同然じゃない!

考えれば考えるほど、さっきの自分は頭がおかしかったのではないかと思えてきた。

でも、もう後戻りはできない。

バーについて知っているのは、携帯電話で見た男女が絡み...

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