第53章

専門科目以外の試験はあっという間に訪れ、わずか数日で終わってしまった。

問題は難しくなく、細川明美は全体的に問題なくこなせたので、珍しく機嫌が良かった。

寮に戻る途中では鼻歌まで歌っていたほどで、そんな彼女の様子を見た佐藤静香が近づいてきた。

「どうやら明美ちゃん、試験上手くいったみたいね、春風満面じゃない!」

細川明美は笑顔で頷き、黙って認めた。

この間、佐藤静香も黙ってはいなかった。彼女は中村信也という内部のコネを通じて浅尾グループに履歴書を提出していたのだ。

その話をする時、佐藤静香の目には憧れの光が宿っていた。

「明美ちゃん!あなた全然わかってないわ、浅尾グループに入り...

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