第5章

玲奈視点

十分後、晴人さんがドアを蹴破るように飛び込んできて、すぐ後ろには大輔さんもいた。

「くそっ!」晴人さんは梨沙さんの様子を見るなり悪態をつき、すぐに救急車に電話をかけた。

大輔さんは薬瓶を確かめる。「睡眠薬と抗うつ剤だ。吐かせないと」

そこからは、まさに混沌としていた。救急車のサイレン、迅速かつ的確に動く救急隊員、そして病院の刺すような白い照明と消毒液の匂い。

私は待合室に座っていた。手はまだ震えている。もし私が梨沙さんの様子を見に行かなかったら……。もしあと数分遅かったら……。

隣に座った晴人さんは、顔面蒼白だった。「先生が言うには、大丈夫だそうだ。発見が...

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