第10章

品川奥さんが威嚇するように手足を振り回す様子を見て、越前美也は怖くなって桜井有菜の後ろに隠れた。

「誰が悪口言ってるって?品川香澄は悪い子よ!学校でよくいじめしてるんだから。信じないなら聞いてみればいいじゃない。優秀な生徒だって?ふざけるな!」言い終わると、また臆病そうに桜井有菜の背中に隠れた。

この弱くて負けず嫌いな様子に、桜井有菜は思わず笑ってしまった。この越前美也、確かに少し可愛いところがある。

「越前美也、これはあなたには関係ないわ。教室に戻りなさい」桜井有菜がそう言うと、越前美也は必死に首を振った。

「桜井有菜、怖がらないで。私は逃げないわ。あなたの潔白を証明するために!」...

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