第101章

その頃、クルーザーの一室。神山務はバスルームに身を潜め、何やらもぞもぞと弄り回していた。

この船は個室に至るまで監視カメラの目が光っている。唯一の死角であるバスルームだけが、彼が悪巧みを働ける場所だった。

一方、ダイニングルームではイートン伯爵が優雅に座っていた。彼は桜井有菜にランチの同席を強要し、拒めば小紫の治療を打ち切ると脅してきたのだ。この伯爵の身勝手さには、さすがの有菜も呆れるほかなかった。

「そんなに頼んで、腹が破裂しても知らないわよ?」

有菜は腕を組み、手を付ける気配すらない。この男はあまりに不気味で邪悪だ。髪の毛一本ほども信用などできない。

有菜の元に届く食事はすべて...

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