第131章

藤宮家の面々にとっては、ようやく落ち着いて膝を突き合わせる時間が訪れたと言えるだろう。桜井有菜が越前美也の寝室へ姿を消すや否や、藤宮老人の杖が唸りを上げ、三男のふくらはぎを打ち据えた。

「こいつめ、正直に吐きおれ。土倉家の連中を呼び寄せたのはお前の仕業だろう?」

 海千山千の古狸同士だ。この放蕩息子の考えそうなことなど、父親にはお見通しだった。

 土倉家が何の理由もなく押しかけてくるはずがない。しかも、来るなり桜井有菜に矛先を向けたということは、彼女が藤宮家に滞在している事実を掴んでいた証拠だ。

 奴らの目論見はこうだ。桜井有菜の素性を暴露し、その名を地に落とせば、婚約者の座が土倉彩...

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