第137章

翌朝、桜井有菜は早めに登校した。今日は藤宮弘が出張で不在のため、代わりに手配されたボディガードが車で学校まで送り届けることになったのだ。

 ルカスの一件がある以上、外出時に護衛がつくのはやむを得ない。桜井有菜自身もそれを疎ましくは思わず、安全のためならばと割り切っていた。

 教室に入り、鞄を置いた直後のことだ。越前美也が幽霊のようにふらふらと入ってくると、机に鞄を放り出し、そのまま突っ伏してしまった。

「どうかしたの? 顔色がひどく悪いけれど」

 桜井有菜が心配そうに尋ねる。

 顔を上げた越前美也の顔面は蒼白で、くりくりとした大きな瞳には赤い血管が走り、瞳の光は完全に消え失せている...

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