第151章

 桜井城の事件は影響が広範に及んでいたが、桜井有菜は関心を持つ気になれなかった。特定の人々や出来事について、もはや二度と思い出したくすらなかった。

 だが、思いがけないことが起きた。ルカスが病室に現れたのだ。それも、堂々と足を踏み入れてきたのである。

「桜井有菜さん、怪我をしたと聞いてお見舞いに来たよ!」

 花束を手に現れたルカス。有菜が視線を向けると、彼は何事もなかったかのように爽やかな笑みを浮かべている。この少年の図太さには、ある意味で感心させられた。

「ルカスさんは随分と耳が早いのですね。本当に、ただのお見舞いですか?」

 ルカスは軽く笑い、花束をベッドの脇に置く。漂ってきた...

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