第155章

桜井美月も、村雨茜が桜井浩明に金を渡すのを黙って見過ごす気はなかった。浩明の手に渡れば、間違いなく桜井城を救うために使い込まれるか、あるいはすべて桜井睦月のために浪費されるだけで、美月に一銭も回ってこないことは火を見るより明らかだったからだ。

これほどの大金が手に入るのなら、桜井家の令嬢という肩書きなど、今の美月にとってはどうでもよかった。資金さえあれば自由の身だ。どこへなりとも行けるし、あの渡辺景一でさえ歯牙にも掛けずに済む。

「パパ、ママだって桜井家を思ってのことなのよ。忘れないで、有菜の母親はパパと離婚したがってるじゃない。もしこの株の存在を知られでもしたら、絶対に返せって騒ぎ立て...

ログインして続きを読む