第159章

藤宮弘也は成田望の胸倉から手を離すと、やり場のない怒りをぶつけるように廊下の壁を思い切り殴りつけた。渡辺誠治は慌てて周囲の野次馬の視線を遮るように立ち塞がった。

「藤宮、ここは病院だ。少し落ち着け!」

渡辺誠治が傍らで宥める。友人として付き合いは長いが、彼がこれほど取り乱す姿を見たのは初めてだった。

そう思うと、渡辺誠治も腹立たしくなり、八つ当たり気味に成田望を蹴り飛ばした。

「お前も事情を聞かずに騒ぎ立てるな。早く言え、桜井さんの容態はどうなんだ?」

桜井有菜の名前を出され、成田望は鼻で笑うと、乱れた白衣の襟元を整えた。

「骨は繋いだ。だが絶対安静だ。師匠秘伝の軟膏があるから毎...

ログインして続きを読む