第161章

カスクは藤宮弘也を完全に無視し、極めて傲慢な視線を二人に向けていた。裏社会も表社会も渡り歩いてきた渡辺誠治でさえ、これほど厄介な相手は初めてだった。声を荒らげることも騒ぎ立てることもなく、ただ黙らせてくるのだ。

藤宮弘也はカスクを見据えて口角を少し上げると、渡辺誠治に視線を移した。

「外で待っていてくれ。彼と少し個人的な話がある」

渡辺誠治は一瞬呆然としたが、この二人が知り合いなのだとすぐに悟った。彼が頷いて退室すると、執事のウェズリーも後に続いた。カスクは社長椅子に深く腰掛け、嘲笑を浮かべて藤宮弘也を見つめている。

「有菜ちゃんが怪我をした。少し状態が悪い。彼女はもうすぐコンテスト...

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