第168章

藤宮弘也はわずかに口元を引きつらせた。彼の甥っ子、絶体絶命だ。

藤宮の祖父のやり方からして、彼はきっと一日二十四時間のうち、半分の十二時間はお見合いの席に座らされているに違いない。

桜井有菜が藤宮美子と共に姿を現すなり、祖父は小言を並べ立てた。

「お前たちもだ。有菜ちゃんはまだ怪我をしているというのに、どうして手伝わせたりするんだ?」

藤宮美子は呆れて天を仰ぎそうになった。いくらなんでも、このお爺ちゃん、贔屓が露骨すぎやしないか。

「そんなことないですよ。私が暇を持て余して、美子さんにお菓子作りを教わっていただけですから」

祖父はすっかり機嫌を良くした。やがて家族が食卓を囲んだが...

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