第192章

藤宮光は恨めしそうな顔で桜井有菜を睨みつけたが、彼女は気にすることなく一つの袋を彼に差し出した。

「あなたの好物です。ついでに買いました」

藤宮光が袋を開けると、ぱっと目を輝かせた。

「栗金飩です。帝都大学の学食のものが一番美味しいと言っていたので、買いました」

藤宮光はツンとして鼻を鳴らしたものの、すぐに袋を開けて食べ始めた。後部座席に座る老いと若きが、あろうことか奪い合いを始め、桜井有菜は呆れて言葉も出なかった。

「北島、これは有菜ちゃんが僕に買ってくれたんだ!食べたきゃ自分で買いに行けよ!」

北島は容赦なく藤宮光の頭をはたいた。

「目上の者に向かってなんだその口の利き方は...

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