第199章

 午前六時。着替えを済ませ階下へ降りた桜井有菜は、まず藤宮の祖父の脈を診た。彼女はわずかに眉をひそめると、すかさずスマートフォンを取り出し、成田望に電話をかけた。

「保心丹を持ってきて。場所は藤宮本家」

 電話を受けた成田望は半狂乱になった。

「桜井有菜、俺は医者だぞ! パシリじゃない!」

「遅れたら、脚をへし折るわよ」

 言い捨てるなり、有菜は藤宮弘也に指示を飛ばした。

「布団をめくって。急いで針を取ってくる」

 有菜が部屋を飛び出していくと、傍らで見ていた藤宮明司はすでに緊張で手を震わせていた。

「一体どうしたんだ、弘也。救急車を呼んで、病院へ運ぼう!」

 弘也は何も答...

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