第21章

桜井有菜と桜井美月は丁度桜井家の玄関先で出くわし、桜井美月はすぐさま桜井有菜の行く手を遮った。

「あの車の中の男は誰?まさか……」

桜井有菜は桜井美月を冷ややかな目で一瞥し、目の前の人物を一気に押しのけた。桜井美月は玄関先で転びそうになり、前を行く桜井有菜を歯ぎしりしながら睨みつけた。

「やましいことがあるんでしょ。まさか、おじさんに囲われてるの?」

桜井美月の顔には嘲笑が満ちていた。心の中では悪意を持って想像していた。きっとそうに違いない。桜井有菜はお金持ちに目をつけられたんだ。もしかしたら不倫相手かもしれない。桜井美月は考えれば考えるほど、自分の推測が正しいと確信していった。

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