第212章

 カスクもこの一件については苛立ちを隠せないでいた。神山務の奴にしても自業自得というほかない。服を着替えるよりも早いペースで女を乗り換えていたのだから、ウイルスに感染したとて、自分の運の悪さを呪うしかないだろう。

 一方、桜井有菜は別の問題に思考を巡らせていた。そもそも、バンニクというあの馬鹿を唆したのはいったい誰なのか。

 そう思い至り、桜井有菜は藤宮弘也に電話をかけた。

「バンニクを騙した女が誰なのか、心当たりはある? もう調べた?」

 藤宮弘也は眉をひそめた。その件については、確かにこれまで追及したことがなかった。

「秋田風に聞いてみよう。あのバンニク、また何かやらかしたのか...

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