第213章

紫はこくりと頷き、興奮した面持ちで斉藤剛に言った。

「前に誘拐されてエジプトに飛ばされた時、私を助けてくれた人の中に、あのお姉ちゃんがいたの」

紫の言う事件については、斉藤剛も把握している。だが、あの時藤宮弘也たちの救出に向かったのが彼女だったとは、まさかこんな繋がりがあるとは思ってもみなかった。

「行くぞ。面通しだ」

紫は頷くと、大人しく斉藤剛の背後について歩き出した。

「斉藤さん、あのお姉ちゃんはいつ帰ってくるの? 会えるかな。お礼も言いたいし、プレゼントも渡したいんだけど……」

紫はブツブツと呟くように、斉藤剛の後ろでずっと喋り続けている。おまけに下を向いたまま前をろくに見...

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